その7:岡さんのタイムマシン
斉藤 | 関連してお聞きしたいことなのですが、 アマチュア楽団がコンサートのゲストに、 サウンドクリエイターさんを呼ぶっていうのは、 そのキャッチボールに繋がると思いますか? |
菊田 | 僕はやるべきだと思う。 |
斉藤 | やっぱり、リトルジャックさんに呼ばれたときは 嬉しかったですか? |
菊田 | 情熱が伝わってくるのが一番嬉しかった。 それに楽しかった。 僕たちは彼らに偉そうなこともしたくないし、 利益を求めてるわけでもないんです。 本当に求めているのは情熱だよね。 |
TECHNOuchi | はい。 |
菊田 | 気持ちをちゃんと伝えてくれるのが本当に嬉しいです。 日本人はシャイだから、 日本でこういった機会に恵まれることはないと思っていました。 逆に海外の人は直球で来るじゃないですか。 (一同うなずく) |
岡 | コンサートには絶対来て!みたいな。 |
菊田 | そうしないと死ぬ!みたいな(笑) (一同、爆笑) 嘘かと思われるかもしれませんが、 そのくらい海外の人には、 伝えようとするアグレッシブさがあります。 いいなぁというか、自分に正直だなと思います。 |
岡 | でも、嬉しいですよね。 |
菊田 | 僕たちが作ったものが伝わったんだとわかった出来事でしたね。 もしかしたら、 ゲーム音楽がその人が生きてきた中で、 一番大事な時期に何かのキッカケになったのかもしれません。 それをその人が演奏するとか、 人生のなかでいい形で活かせることができて すごい喜んでくれるなら、僕も嬉しい。 |
斉藤 | そうだと思います。 僕がこうして活動しているのも、 ゲーム音楽がキッカケですからね。 |
岡 | 今までファンの声が伝わらなかったというのはすごく感じます。 昔メーカーに勤めていた頃、 残業や休日出勤も多いなか、曲を作っていました。 自分なりに一生懸命ゲームを作っている認識はあったのですが、 作った先にファンがいるっていうのが 日常生活ではリアルに感じられなかったんです。 |
斉藤 | えぇ。 |
岡 | 当時、リリースしたばかりの私が関わった ゲームの話題で盛り上がっている小学生を 電車でみたとき、もう嬉しくなってしまって、 “そのゲームの音楽、私が作ったんだよ” って、声をかけようかと思ったぐらいでした。 (一同、笑い) インターネットの力もすごいですね。 ホームページからファンレターを頂くことも増えたんです。 |
斉藤 | どんなものが届くんですか? |
岡 | 音楽を自分でもやっているというファンも多くて、 私が昔作った曲を聴いて、 当時とても音楽作りの参考になった。 今は大人になって音楽の仕事をしている。とか、 ゲーム会社の社長になったとかです。 海外のファンの方からは直球で、 あなたの作品のアレンジやムービーを作ったから 聞いてくれ!見てくれ!というものが多かったです。 |
菊田 | いいねぇ。 |
岡 | その当時はそんな風に思ってもらえているなんて わからなかったので本当に驚きました。 ほかにも、小学生のとき学校で嫌なことがあったりして、 家でゲームばかりやっていたけど、 私の曲を聴いて学校へ行く元気がでて、 助けてもらったなんてものもあって。 本当に、感激しました。 |
斉藤 | その人の人生の転機になったんですね。 |
岡 | タイムマシンがあるなら、 このことを当時の自分に教えてあげたい。 そうしたらあの時以上にやる気をだして、 なにか別のものが生まれたかもしれません。 時間差でもだれかが感じた想いがずっと残り続けて、 こうやって届くなんて、胸が熱くなるというか、 ゲームってすごいんだなって思いました。 |
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