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ゲームサウンドクリエイターのあつまり「ゲ音団」との対談

その3:ゲ音団は連絡網?


斉藤 今、ゲ音団は何名ぐらい所属されているんですか?

TECHNOuchi 90名(※2010年4月現在)ぐらいになります。
現在は、メンバーからの紹介制で増えていっています。

僕たちは世の中に出る前のゲームについて
イロイロ知っているわけですから、
メンバーの間でも、
当然、守秘義務は意識しなければなりません。

そういった場所に、
誰でも入れるっていうのはちょっと怖いんです。

菊田 誰かが責任をもって連れて来ます。ということだったら
まだ納得いくかなという感じで、今はそうなっています。

斉藤 ゲ音団を設立されて、
何か企画を立てようとかビジネスが起きたことはありましたか?

TECHNOuchi あれだけのサウンドクリエイターさんが集まっていると、
そういう感覚もわかるんですが
ゲ音団は“ボクたちにお仕事をください”
という場所ではないんです。

菊田 僕たちのホームページを見たことはありますよね?

斉藤 はい。

菊田 見ていただいた通り、
手作り感があると思います。

先ほど、TECHNOuchiくんが言ってくれたように
あそこは僕たちの繋がりと、
やってきた仕事を集約している“場所”なんです。

TECHNOuchi 元々が、“いろんな人と飲み会をしよう”
という動機から始まっていますし、
メンバーからの紹介だったりするので、
ゆるーい集まりなんです。

斉藤 そうだったんですね。

菊田 ビジネスの仕掛けだったり、
商売だったりからは離れたところで、
繋がりを持ちたいという気持ちもあります。

携わっている仕事は違っていても、
みんなで一緒にやっている感じを大切にしたいんですね。

斉藤 2月20日に発売された『ぐわんげ(※)』の
アレンジCDがありましたよね。
ゲ音団の方々が参加されていて、僕も欲しくて。

でも、すぐに売り切れでした。。
(※)ぐわんげ … 1999年にアーケードで稼動開始されたケイブ開発の縦スクロールシューティングゲーム。

TECHNOuchi あれは、ケイブさんの企画から
生まれたというルーツを持つ我々への
ケイブさんからの発足祝い、
という形でいただいた企画の1つなんですよ。

斉藤 そうだったんですか!

TECHNOuchi なので、結果的にゲ音団独占企画、
という形になってしまいました。

他の企画でも、たまたまゲ音団に所属している人が
たくさん参加していたっていうこともありますが、
意図してやっていることではないんです。

菊田 そうだね。

僕はそのアレンジアルバムには参加していないんだけど、
仕事というよりは、楽しんでやっている感覚がすごいわかる。

なんだろう、遊びに近いのかな?

斉藤 面白い話があれば飛びつく。

菊田 そうそう!

やっぱりゲ音団というところは“場所”なんだよね。

ゲ音団やゲ音団以外の人が面白い話をもってきて
誰かが「おもしろい!やろう!」と思えば参加します。

参加してる人も楽しいので、
面白いことがあれば持ってきてくださいと思うこともあります。

ゲ音団img

TECHNOuchi そういう面白い話が来たときに、
この人が参加すればもっと面白くなるかも
と思うこともありますから、
ゲ音団は、連絡をスムーズにする面も持っていると思います。

こんな話きたんだけど、どう?って
サウンドクリエイターさんに相談することもありますよ。

斉藤 なるほど。

菊田 ゲ音団って団体じゃなくて、本当は連絡網なんだよね。
そうだと思ってもらうのが一番近いかもしれない。

今回の対談アーティストが3人とも参加している、
ダライアスバースト リミックス ワンダーワールド
(2010年6月30日発売予定)
本作に於いても、連絡網という意味で
ゲ音団の存在が一躍買っている。

ダライアスバースト リミックス ワンダーワールド

(C)TAITO CORPORATION 2010 ALL RIGHTS RESERVED.

TECHNOuchi 団体っていう名前を変えましょうかね。

菊田 固い感じがするもんね。

TECHNOuchi ゲームの音屋の連絡網。
これですかね。

菊田 ゲ音連!


(一同ドッと笑う)

TECHNOuchi ゲームの音屋の連絡網。
本当にゲ音団はそのくらいのノリなんですよ(笑)

斉藤 僕が用意した質問のなかに
そういったアレンジCDや、プロが行うコンサートは、
ファンサービスの一環なのか、ビジネスの一環なのか、
それとも、ただ趣味に近いのかとお聞きしたかったんですが、
ゲ音団は趣味に近いようですね。

菊田 そうだね。

ビジネスというのは個人がやればいいと思っています。
ゲ音団は何かが生まれる土壌として、
いい場所になってるのかな。

斉藤 ニコニコ生放送(※)で生配信されている「おとや」も
先ほどの感覚で形になった企画だったんでしょうか?
(※)ニコニコ生放送 … 通称ニコ生。ニワンゴ運営によるニコニコ動画のサービスの一つで、インターネット上でリアルタイムの映像が配信され、コメントの投稿ができる。
おとやは、ゲーム音楽のサウンドクリエイターを迎えて、トークやライブを配信した。
[第1回目] [第2回目]

菊田 あの企画は、ゲ音団のメンバーでもある
ノイジークローク(※)代表の坂本英城さんが
ゲ音団発足以前からドワンゴさんと共にあたためて来た企画で
ゲ音団で生まれたものではありません。
(※)ノイジークローク … ゲームサウンド専門の制作会社。
100万トンのバラバラ、勇者のくせになまいきだ、龍が如くシリーズなど、多数ゲームタイトルの音楽制作に携わっている。

ただ、同様の企画がTECHNOuchiくんからも出ていましたし、
各々、うまく協力しあえればいいなぁと思っています。

斉藤 コンサートのようなものは、お考えですか?

TECHNOuchi いろいろ話をするなかで、
ライブをやってみたいねというのはあります。

菊田 コンサートやライブをするとなると、
お客さんを呼ぶ責任もあるし、コストもかかるから
もし、やっていこうと考えたら
キチンとビジネス的なことも
考えていかないといけないですよね。

TECHNOuchi どれくらいお客さんが来てくれるかわからないですし、
場所とか今は想像がつかないんです。

菊田 僕たちよりもゲーム音楽を演奏してくれている
アマチュア楽団の人たちのほうが
コンサートの回数を重ねているじゃないですか。

アマチュアの人の感覚ってどうなのか聞いてみたいんですけど、
いいですか?