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ゲームサウンドクリエイターのあつまり「ゲ音団」との対談

その4:アマチュア楽団の実態


斉藤 借りる会場によって、人数の上限は変わりますが、
1,500席近いホールが埋まることもあります。

えぇ!?
告知はどうやってやったんですか?

斉藤 一般的には、楽団のホームページで告知をするほかに、
ゲーム音楽を演奏する楽団の演奏会にチラシを挟み込みしたり、
mixiなどのSNSに書き込みをしたりします。

はい。

斉藤 僕が在籍していたコスモスカイオーケストラの
第一回定期演奏会では、1,500人ものお客さんが集まりました。

そこでは、特設サイトを作ったり、
グーグルのスポンサーリンクに出稿したりしました。

あとは演奏会の1週間ぐらい前に「インサイド(※)」というゲームメディアに取り上げられたことが一番大きかったと思います。
これは団員たちも予想外の出来事で、当時非常に驚きましたね。
(※)インサイド … ゲームに関連するニュースをいち早く紹介する大手ニュースサイト。

菊田 やっぱりメディアは必要だよね。

そのコンサートで演奏した曲は、
すべてゲームで使われた曲ですよね?

斉藤 はい。

コスモスカイオーケストラに関していえば、
ゲーム音楽をもうちょっと大きく捉えて
映画やドラマ音楽なども演奏していますが、
やはり集客という面でみると、
ゲーム音楽が一番強かったと感じます。

菊田 やっぱりね。

実際、僕たちがやろうとすると、
そういった設定はちゃんと考えないといけなさそうだ。

斉藤 メディアに取り上げられなくても、
企画が良くて2,000人のホールが
ほぼ埋まったケースもあります。

「リトルジャックオーケストラ(※)」という楽団なんですけど、
『ファイナルファンタジー6』の曲をパイプオルガンを使って
演奏するというすごい試みでした。

実際に演奏も聴きに行きましたが素晴らしかったです。
ゲストにコンポーザーの植松伸夫さんもいらしていました。
(※)リトルジャックオーケストラ … 植松伸夫氏のファンサイトの掲示板をきっかけに2000年5月に設立された、ゲーム音楽を演奏するアマチュアオーケストラ。

菊田 リトルジャックオーケストラは、僕も知ってる。

斉藤 2008年8月に行われた、第5回定期演奏会に
ゲストでいらっしゃっていましたよね。

菊田 でも、2,000人とか集まっちゃうと、
ちゃんとしたコンサートをやらないといけなくなっちゃうから…
それはめんどくさいよね。

斉藤 なんと(笑)

TECHNOuchi ボクらは、サウンドクリエイターではあるけど、
プレイヤーではない場合のほうが多いんです。

両方できる方も、もちろんいるんですけど、
ボクはぜんぜん演奏できませんし、楽譜も読めません(汗)

斉藤 日本は、ちゃんと座って音楽を聴く文化がありますからね。

菊田 そこがね(笑)
演奏する側としても、
そんなちゃんと座って聴かないでってなるよね。

コンサートっていうけど、
音楽を演奏するだけが
コンサートじゃなくてもいいと思うんだよね。

斉藤 と言いますと?

菊田 本人たちが、やりたいことをするんです。

TECHNOuchi トークショーあり、演奏ありな感じですね。

菊田 いろんな人たちが出演して、いろんなことをして、
“1日が楽しかったね”ってまとまるようにすれば、
僕たちだけでもコンサートのようなことが
できるんじゃないかな。

TECHNOuchi さきほど挙がっていた「おとや」のような感じでしょうか?

菊田 その方向性が近い感じがするんだけど、どうかなぁ。
アマチュアの人がする演奏会への
感覚というのも気になりますね。

斉藤 アマチュアの人たちは自分たちでお金を出してでも
好きなゲーム音楽を演奏して、
誰かに聞いてもらいたいと思って活動しています。

趣味にお金を出すのと同じような感覚です。

菊田 なるほど。

リトルジャックオーケストラにゲストで行った時に
打ち上げにも参加したんだけど、
もう情熱だけで突っ走ってるような感じがしてスゴかった。

演奏に関しても、よく再現できるなって思ったし
本当に僕らの音楽が好きなんだなって伝わってきたんです。

斉藤 僕たちがこんなにゲーム音楽の活動に熱中しているのは、
演奏をすること自体が楽しいのはもちろんですが、
1つの演奏会という目標をみんなで達成することだったり
楽団の繋がりから色々な人と出会えることや、
2083みたいな企画が生まれることも非常に楽しいです。


ただ、演奏会費は団員の負担なので、
無料コンサートとなると
開催は、1年や1年半に1回しかできないのが現状です。

菊田 そうなってしまいますよね。