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ボストンでゲーム音楽を演奏するVideo Game Orchestraとの対談

その9:コンポーザーの人に知ってほしい

仲間 ボク、ゲストを呼ぶって結構大事なことだと思っているんです。

斉藤 日本のコンサートでも作曲家がきたら、
それはもうビックリですよ。

仲間 自分たちの演奏だけでもいけるんじゃないか
っていう意見も確かにあるんですけど、
ボクらの方針としては、
すべての人に利益がいくようにやりたいんです。

すべての人っていうのは、本当にすべての人なんです。

あるゲームタイトルの曲をコンサートで演奏するということは、
ゲームの知名度が上がりますから、
まず、ゲーム会社にとっての利益となるはずです。

そして、作曲家を呼ぶことで、
今度は、作曲家自身と楽団側の利益になります。
これはそのまま聴きに来てくれたファンの利益にもなります。

利益というとお金というイメージですが、
ここではちょっと違う意味を持っています。

斉藤 はい。わかります。

仲間 ボクたちは、今までに「VIDEO GAME LIVE(※14)」の
指揮者ジャック・ウォール、
PS3タイトル『AFRIKA』のコンポーザーの
鋒山亘(ほこやまわたる)さん、
他にも『God of War』のコンポーザーや、
SONYの方をゲストに迎えました。
(※14)VIDEO GAME LIVE … 全世界で延べ10万人以上を動員している、
最も大規模かつ成功しているゲーム音楽のコンサート。
各地の一流オーケストラによる演奏とゲーム映像とのシンクロや照明による演出など、圧巻のパフォーマンスを行っている。
日本には、2009年9月21日・22日に来日し、
東京国際フォーラムにてコンサートを開催した。
ボクたちのコンサートの中で、
PS3で販売された『AFRIKA』の曲を演奏したんですけど、
作曲した鋒山亘さんが自身で2009年9月に行われた
エミネンス交響楽団のコンサート用にアレンジしたものを
ボクらに提供してくれたんです。
斉藤 それは、すごいですね!

仲間 ボクたちが演奏したいという気持ちを本人に伝えるのは、
作曲家自身の刺激になりますし、
1度作った曲をアレンジするということで
鋒山さんも何かを得るかもしれません。

結果的に、非常にレベルの高い楽譜を提供してもらえたわけですが、
VGOのメンバーは大喜びで、
それはもう真剣に取り組んで音楽の刺激を受けるわけです。

ボクも作曲や編曲をしますから、アレンジされた楽譜を見て、
インスピレーションを受けます。

斉藤 どちらにも利益があるわけですね。

仲間 いろんなことがいいように重なっていくので、
ゲストを呼ぶことは大事だと感じました。
だから、これからもゲストは呼べる限り呼びたいですね。

鋒山さんはコンサートで指揮も振ってくれました。
鋒山さんを呼べたことはボクらにとって貴重な財産です。

『AFRIKA』の音楽は本当に素晴らしいですから、
それをみんなに知ってもらえたことで
鋒山さんの知名度も間違いなく上がったし、
VGOというグループとしても、演奏力がすごい向上しました。


PS3 AFRIKA オリジナルサウンドトラック(DVD付)
鋒山亘 ゲーム・ミュージック
B001EPK0WI



斉藤 ゲーム音楽を通じて人脈が広がるというのも
ホントに面白いですよね。

仲間 えぇ。
ボクはゲーム業界で翻訳もしているんですが、
それもボクが色んな人と知り合いたいからやってるので、
実はお給料は安いんですけど気にしていません。

とにかく、知り合いは多いほうがいいですよね!

斉藤 絶対いいと思います。

仲間 ゲーム音楽に限らず
音楽業界は結局横のつながりじゃないですか。

斉藤 アマチュア、プロ関係なくそうですね。

仲間 作曲家の知名度の話になりますが、
光田さんとかに「アメリカですごい人気なんですよ」って言っても
「本当に?」ってすごく驚かれるんです。

だからボクたちが演奏することで、
その作曲家に、自分がどれほど人気なのか
っていうのを知ってもらいたいんです。

ボクたちの場合は、指揮者も代表のボク自身も日本人ですから、
とくに日本からのゲストを呼びたいですね。

斉藤 そうですね!

仲間 日本の作曲家の人たちって、
あまり日本から出ないんですよね。
その理由っていうのは、
ただ単に日本国外からの評価がわからないからかもしれません。

だから、それをわかってもらうためにもVGOは活動していきます。

まぁ、ゲストを呼ぶのはボクがただ会いたいだけ
っていうのもありますけど(笑)

斉藤 でも、やるべきことと、
好きなことが一緒ということはありますからね。

仲間 やっぱり楽しいじゃないですか!
そういうことって(笑)