特集コンテンツ

ステージに居るときが最高の時間 響談 -植松伸夫×坂本英城-

その2:ステージに立つと、楽しくなる。


斉藤 今回のロックフェスには、坂本さんが結成されたバンドもご出演されますね。
音楽性としては、立って聴くのと座って聴くのと、どちらの方向性でしょうか?

坂本 僕は立って聴く方向ですね。
おそらく、谷山浩子さんや浜渦正志さんの「IMERUAT」、
霜月はるかさんはじっくり座って聴く音楽性でしょうし。
あと順番的には僕らが最初ですので、着火剤的な役割ということを考えると、
盛り上げ系がいいかなと思いまして。
僕らが盛り上げたあとに、じっくり音楽の良さを噛みしめていただいてから、
最後は植松さんのバンドで盛り上がっていただく、と。

植松 ドリフターズで。


(一同笑)

斉藤 今までの坂本さんの楽曲って、すごく幅広いじゃないですか。
僕の中での坂本さんの音楽は、最近の『勇者のくせになまいきだ:3D』(PSP)や
『無限回廊』(PSP、PS3)といった、
どちらかというとクラシック寄りの緻密なイメージが
ありますが、今回はバンド寄りの選曲にされるんですか。

坂本 はい。

各タイトルごとに、人気のある曲をそろえていますよ。
『無限回廊』から2曲、『100万トンのバラバラ』(PSP)から2曲、
『勇者のくせになまいきだ:3D』から2曲ですね。
それ以外に、オリジナルの曲をバンド用に1曲書き下ろしています。
今までバンドサウンドを作る機会があまりなかったので、
そういう意味では個人的にもおもしろいです。

あと、今まで僕の曲はクラシック系の曲が多かったですけど、
バンドが嫌いなわけではないですよ。
昔、高校時代にはバンドでドラムを叩いていました。

斉藤 ドラムをされていたんですか! 意外でした。

坂本 何度やっても水ぶくれができちゃって、痛いからやめました (笑)。
会社を立ち上げてからも、
「バンドをやりたい」という思いはちょっとあったんですよね。
社内のメンバーで担当楽器もちょうどバラけてますし、いつか遊びで
バンドやろうねって言ってたんですけど、遊びじゃないものが来ちゃって。

永芳 いきなりロックフェス、と。

坂本 ええ。恐れ多いですね、このメンバーの中では。
しかもクラブチッタ2days。

植松 あっと言う間に過ぎていきますよ、夢のような2日間。

坂本 いやあ、楽しみですね。

植松 会場の周りにはおいしいラーメン屋もあるし (笑)。

永芳 植松さん的には、やはりライブの後の打ち上げやラーメン屋というのは
楽しみのひとつとしてあるんですか。

植松 いや、やっぱり打ち上げよりも本番のほうがよっぽど楽しいですよ。
ステージでウケてる時の楽しさに比べられるものはないですね!

写真

永芳 植松さんは以前、ステージに立つまではすごく緊張するけれど、
いざ立った後はすごく楽しくなるとおっしゃっていましたね。

植松 うん。スタッフには緊張を隠してますけどね。
心臓バックバクですよ、ほんとに・・・何回やってもあれはだめですね。うん。
でも、いざステージに立つと、吹っ切れて楽しくなっちゃうんですよね。
あと、緊張を人に悟られないようなテクニックは身につけました。

坂本 えっ、どんなものなんですか、そのテクニックって。

植松 人と目を合わせない。


(一同笑)

坂本 勉強になります(笑)。

植松 あと、ステージでまず大声を出したら緊張が取れますね。
ボソボソしゃべると場に飲まれちゃうんですけど、
「イエーーーーーー!」とか叫ぶと、エネルギーが体中に湧くんです!

坂本 「今日は来てくれてどうもありがとーー!」だとか言ったあとに
シーンとしちゃうようなこともあります? それが怖くて・・・

植松 そういうのは思っちゃダメですよ! 世の中、思い通りになりますから。
これはダメかもって思ってやったことは大概失敗しますもん。

坂本 なるほど、とにかく声を張っておけばなんとかなる、って感じですか。
なにしろ経験がゼロなもので。

植松 あんまりやらないんですか、ステージ上での演奏って。

坂本 僕は、ニコニコ生放送の番組でちょっと演奏することはありますけど、
お客さんの前で生演奏するのは今回が初めてです。
それこそ、高校の文化祭以来ですね(笑)。
ディープパープルの『Burn』をキーボードで弾いたんですけど。

植松 僕らも今度やりますよ。『Burn』。

坂本 おおー。すばらしい。
キーボーディストにはたまらない曲ですよね。

植松 うん、基本ですよね、キーボードロックの。

坂本 そうですね。
高校当時使っていたキーボードがFM音源で、
全然あの音が出ない感じでしたけど。
僕らも、バンド作って2年くらい経ったらやってみようかなと思います。
・・・というわけで、僕らはほんと、当たって砕けるだけというか。

植松 砕けるって決まってるの?(笑)。

坂本 もうほんと個人的には、植松さんをはじめ皆さんのステージを見たい!
むしろタダで見られる! ぐらいの気持ちでいるので。
楽しみですよこのイベント、本当に。

植松 でも面白いですよね、坂本さんがバンドで出るっていうのは。
僕が坂本さんの出演を知った時は、
坂本さんがどういう編成で出るか知らなかったんですよ。
バンドがいくつか出る中で、弦楽四重奏とピアノの『無限回廊』があったら
すごく素敵だなあ、新鮮だなあと思ってましたね。

坂本 まったくそのご意向を裏切るかたちになってしまいましたが (苦笑) 。
激しい曲をやりますよ、今回は。

植松 それはそれでいいですね。
でもこのイベント、誰も想像できないっていうのが面白いですよね。
フタを開けてみないと何が起きるか分からないっていうのが。

斉藤 バンド編成で参加することを決めたのは、坂本さんなんですか?

坂本 はい。ファンタジー・ロック・フェスは、プログレと聞いていたので、
なんの疑いもなく決めましたね。
今、植松さんのお話を聞いて、
そうか弦楽四重奏って方法もあったなあと思いましたよ(笑)。

植松 でも、弦楽四重奏って可能性はいっぱいありますよね。
弦楽四重奏だけでもロックっぽいことってできるかも。

坂本 元がロックの曲を弦楽四重奏にするのも、おもしろいかもしれないですね。
そういう風に、「ジャンルを飛び越える」のは個人的にはテーマとしてありました。
今まで結構、コンセプチュアルな仕事ばかりをやってきたので、
そこから一番真逆なことをやるとしたら何か?ということを考えたら
ギンギンのバンドサウンドかなと思いまして。
まあでも、原曲を知ってる人が
ガッカリしないようなアレンジを心がけていますよ。

永芳 原曲は大切にしつつ、と。

坂本 そうですね。
聴いて、あ、あの曲だ!と分かるように。

植松 そういえば、バンド名は何になったんですか?

坂本 「TEKARU(テカル)」です。
・・・僕の顔がテカってるから。

(一同笑)

『(無限回廊)光と影の箱』(PS3/PS Move)が、
『テカリとヒゲの箱』って言われたり、
ずっといじめられてたんですよね(笑)。
テカル、スベル、カブル、といったメンバーの名前も決まっています。
・・・というのが果たして本当にいいのかな、というのも含めて考えています。
なにせファンタジーですからね。テカルとか言ってていいのか?と。

斉藤 けっこう現実的な悩みみたいになっちゃいますよね(笑)。

坂本 まあ、せっかく今回バンドを組むので、今後も活動を続けていきたいですね。
僕がこれから担当する作品は、バンドアレンジができるように、
仕事を受ける段階から話を通しておくようにします。
あとは、ロックフェス当日の物販用に、このバンドのCDも準備しています。
ライブで聴いて、その帰りにすぐお買い上げいただけるように。

斉藤 ライブで演奏される曲がそのまま収録されている、と。

坂本 そうですね。
今聴いた曲を聴きたいな、と思ってくれる人がいたらいいなと。
CDは今後、2枚、3枚と出していけるようにがんばります。


twitter