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ステージに居るときが最高の時間 響談 -植松伸夫×坂本英城-

インタビュアー:斉藤健二、永芳英敬
Article written by 永芳英敬
Twitter:@hide_gm / Blog:GAMEMUSIC GARDEN




その1:立って聴いてもらえると勇気づけられる!


斉藤
永芳
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。
よろしくお願いいたします。

植松
坂本
よろしくお願いします。

斉藤 昨年9月に第1回目となるファンタジー・ロック・フェス2011が開催され、
今年3月には第2回目が開催となりますね。
前回もご出演された植松さんは、前回を踏まえて、
今回どういった形で盛り上げたいと思いますか?

植松 前回のロックフェスは当初、昨年3月の開催を予定していたんです。
でも、開催の直前に東日本大震災が発生して、延期になってしまって。

結局、開催できたのが昨年の9月でした。
イベントって、何月何日に開催されますよっていうアナウンスがあってから、
当日までにどんどん盛り上げていくものなんです。
でも延期になっちゃうと、流れが作りづらくなって、
ノリが悪くなっちゃったりするんですよね・・・。それがすごく心配でした。

斉藤 でも、前回はかなりの盛り上がりを見せていましたね。

植松 そうですね。あれは、こちらもびっくりするくらい盛り上がって。
ロックフェスは、ベタなゲーム音楽をやっているわけではなくて、
みんなの知ってるゲーム音楽に少しアレンジを加えたり、
オリジナルの曲をやったり、キング・クリムゾンやクイーンの曲もやるような、
どちらかというと音楽寄りのライブでした。
それが、こんなに盛り上がってくれるのは素晴らしいことだなと思いましたね。
ただ、それが毎年恒例になるとは思っていなかったんです。
9月に第1回を終えて、ふう終わったーと思っていたら、
次は3月ですと言われて(笑)。

永芳 早いですよね、開催スパンが。

植松 ですね。なので、1回目の大盛況ぶりに水を差すことのないように、
今回もまた盛り上げていかなきゃと思っています。
なんだか、去年もそうだったし今年もそうみたいなんですけど、
うちらのバンドがお祭り騒ぎ役なんですよね。
他に参加される方は、シビアなミュージシャンだったりするんですよ。
だからシビアな音楽はほかの人たちに任せて、僕らはドリフターズ役で (笑)。

斉藤 パーッと。

植松 ええ、パーッと。盛り上げていきたいなと思ってますね。

斉藤 去年のロックフェスは2日間開催されましたが、
1日目ではスタンディングしたい人と
座りたい人の間でちょっとしたトラブルがありましたね。

植松 あったようですね。
ライブで立ちたい人と立ちたくない人のせめぎ合いがあったみたいで・・・
スタンディングして聴きたい人が立った際に、座って聴きたい人から
「立つな!」と言われたらしくって。
僕の曲は、プログレ寄りだとは言うものの8ビートなので、
ノッていこうと思えばノッていけるんですけどね。

坂本 なるほど。 難しいところですね・・・。

永芳 そうですね、1日目にそういうトラブルがあって。
2日目の開演前に植松さんのツイッターで、
植松さんのファンクラブ会員宛てに
「立て、立つんだじょー!」という業務連絡があったんですよね。

植松 そうそう。(笑)。
そうしたら、2日目はみんな立ってくれたんだよね。
僕はコンサートであっても、立ちたかったら立っていいと思うんだけどね。
お行儀よく聞くような音楽じゃないですからねぇ。

永芳 僕はツイッターでのみんなのつぶやきを拾ってまとめていたのですが、
いろんな意見がありましたね。
スタンディングで聴きたい人もいれば、座って聴きたいという人もいて。

坂本 席が分かれたライブってのも、あんまりないのでしょうかね。

永芳 去年11月の、伊藤賢治さんのバトル曲ライブが開催されたホールでは
スタンディングと座席とで分かれていましたね。

斉藤 ゲーム音楽というひとくくりだと、ジャンルがすごく広くなってしまいますし・・・
その人が音楽をじっくり聴きたいのか、ノッていきたいのかでも変わりますよね。

坂本 じっくり聴く派が多いイメージがありますけどね、ゲーム音楽好きの人って。

斉藤 今までは、コンサートホールで開催されるコンサートが多かったので、
そういうイメージがついちゃっていますけど、
最近はそういうコンサートとライブ的なものが半々になってきていますね。
だいぶマナーの棲み分けもできるようになってきた感がありますし。

永芳 そうですね。それは思います。

斉藤 昨年2083で開催した、4年に一度のゲーム音楽フェス
「4starオーケストラ」のライブステージでも、当初はお客さんには
座って聴いていただく予定でした。
ただ、ロックフェスでそういった出来事があったので、
アーティスト側が煽ったらスタンディングもOKという形に変更して。
結果的にそれはよかったなと思いました。

やっぱり、ライブ系の演奏会ですと
スタンディングでノリたい人は多いんだなというのを感じましたね。
まわりの人が立っていないと、立つのに躊躇しますけど、
みんな立ってしまえば立つ・・・みたいな。

坂本 ですね。 光吉さんだったら絶対立つけど、岩垂さんはどっちだろう。

植松 たしかに (笑)。

坂本 立って怒られたら怖いですし。
けっこう、人を見て立ったり座ったりというのはありますよね。

斉藤 作曲家への印象がありますからね。
その方が書いてきた曲を含めて。

坂本 そうですね。

植松 光吉さんは、座って聴くことは許さないだろうね (笑)。
でもね、ステージで演奏する側にしてみると、
立って聞いてもらうほうが、すごく勇気づけられるんですよね。
元気になれるんですよ。こっちが。
シーンって座って見られていると、やばい、ウケてない、
ウケてないよ俺たち・・・!みたいに思ってしまうので。

斉藤 不安になってしまいますよね。

坂本 確かにそうですよね。
互いに反応しながら、場が全体で盛り上がっていきますからね。

植松 そうそう。
だからね、ライブって、成功させる責任の半分はお客さんなんですよ。
もちろんこっちが最初に頑張るんですけど、
その場を楽しいものにしようと思うんだったら、
お客さんも積極的にその場を楽しむ気を出してくれないとね。
それが相乗効果になるんですよ。

写真

永芳 そうですね。
ライブは演奏する側とお客さんとの交流の場だと思っているので、
それは大事だと思いますね。

植松 うん。だから、お客さんもギャラをもらわないといけないよ (笑)。

坂本 それはちょっと違うかなと (笑)。


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