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よりよい運営って、なんだろう?−ゲーム音楽を演奏する管弦楽団 リトルジャックオーケストラとの対談−

Article written by 石橋 加奈子



ゲーム音楽を演奏する

私は小学生の頃、
この言葉を“公式のピアノ譜を購入して演奏を楽しむこと”
だと思っていました。

ゲーム音楽を演奏する

という言葉をいま考えてみると、
いろんなことが浮かびます。


吹奏楽で
オーケストラで

さらには
エレクトーンに合唱。

表現が多くなっただけではなく、
みんなで集まって演奏するというのも
当たり前のようになってきました。
現在では演奏会も開催され、
多くのゲームとゲーム音楽のファンが足を運んでいます。


楽器や身体を使って自分を表現しながら
みんなと演奏会を作り上げていく感動は何にも代えられない。
私が奏者の時、こんなことを感じました。

演奏を聴いてる時間は、
いくつものセリフやシーンが頭をよぎったり、
当時の自分に出会って心が動いたりしたことがあります。

ゲームとゲーム音楽が大好きだ!!

そして、演奏する人と聴く人が繋がる演奏会。
もっともっと演奏を聴く機会が増えたらいいなと思いませんか。


アマチュアの楽団は、
今、試行錯誤の段階にあります。

10周年を迎えた、
リトルジャックオーケストラさんのお話を伺いながら、
現在の状況を少し覗いてみることにしましょう。




その1:各自の役割というもの


斉藤 小又さんが団長になられたのは、
昨年の秋ぐらいでしたっけ?

小又 えぇ、そうです。
私で3代目になります。

初代の団長は、
リトルジャックオーケストラ(以下、リトルジャック)を
創設した橋本で、2代目、3代目と
私にまわってきたということになりますね。

斉藤 まわってきた(笑)

小又 えぇ(笑)
責任ある立場ですので、
もちろん立候補という形になっています。

斉藤 団長が変わるというのは、
楽団にとって大きな出来事ですよね。

小又 そうですね。
団長は別ですが、
リトルジャックは毎年運営が変わっていくんです。

なかなか業務が定着しないところもありますが、
いろんな人が団の運営に関わるのっていいなと思うんです。

斉藤 僕も団体を良い状態で継続するためには循環が必要で、
運営が変わることは重要だと考えたことがあります。

古株といいますか、
権限のある人が上に居続けると、
新しく入った人の良い意見が反映されなかったり
不満を持っている人が
そのままやめてしまったりすることがあると思うんです。

それはもう、楽団の死を予感させますね。

小又 良い感じで役職を回せていくかというのも
団長業務の一環なのかなと思います。
普段はなんにもしていないんですよ、
問題が起こったときに動くぐらいで(笑)

大塚 副団長をやっていますが、ボクも同じ感じですね。
というか本当になにもしていないんですよ。

斉藤 本当ですか?

団長ですとか、副団長というのは
すごい忙しいオーラが出ちゃって、
手伝いや相談もしづらいというのを
実際に見てきているので・・・。

そうなるとさっき言ったように、
結局、上の権限だけで物事が動いていってしまうんですよね。

小又 リトルジャックで言うと、
運営委員会というのがあって、
その委員長はかなりハードだと思います。
でも、限界を超えながらも
しっかりこなしてくれているんですよ。

偶然かもしれないんですけど、
できる人たちに就いていただけたので
助かっている部分があります。

各自の仕事量は役職に関係なく
なるべく同じぐらいにしたいんですが、
やっぱりアマチュアの団体なので
偏りが出てしまうところもありますね。

斉藤 団全体から見ると、
アレンジャーの負担も気になりますね。

小又 そうですね。
毎回、その編曲いつやってんだよみたいな感じですから。

斉藤さんも編曲されるから
その辺りの苦労は感じていらっしゃるんじゃないでしょうか。

斉藤 そうですね。
ゲーム音楽や編曲と関係ない仕事をしていた時期は、
締め切りに焦ることもありました。

小又 情熱だけでやりたい曲はたくさん出てくるんですけど、
楽譜もないですし原曲のまま演奏できることも少ないので、
アレンジャーたちの技術っていうのはすごいなと思います。

斉藤 リトルジャックではアレンジャーのことを
“らいぶら隊”と呼ぶそうですね。
(※) らいぶら隊 … ファイナルファンタジーのゲーム中に使われる解析魔法「ライブラ」と
オーケストラなどで楽譜を管理する係(ライブラリアン)をかけている。

小又 そうですね(笑)

編曲も大変ですけど、
編曲をする前にまずは著作権のお話とか、
有料化をしたらお金がかかるとか
いろいろと調べないといけないですから、
やっぱりいろんな人が大変な思いをしていると思います。

その辺りは、斉藤さんが楽団同士の交流や
繋がりを持つ流れを作っていただけたので
ちょこちょこ耳に入ってくるようになってきましたね。

斉藤 いえ、そんな恐縮です。

小又 これが2年前、3年前だったら他楽団との交流って
ほぼ無かったに等しいじゃないですか。
楽団の中だけで話が完結していたといいますか。

斉藤 たしかに。
僕がコスモスカイオーケストラに居たときは、
今のような繋がりはなかったですね。

小又 それがようやく人の交流とかがあって
現在もこうやって話をしているわけですし、
私も今後が楽しみなので頑張ってください(笑)

斉藤 はい!もちろんです!