その7:楽団はどこも財政難?
斉藤 | アマチュア楽団も、いつまでも演奏会を無料でやっていくのは、 難しいかもしれません。 |
秦 | 無料でされているんですか? ちょっと驚きですね。 |
斉藤 | えぇ、ほとんどがそうなんです。 これは演奏会にくるお客さんにも驚かれることがあります。 |
秦 | 無料でやるにあたって 限界を感じたことってあったんですか? |
斉藤 | 正直あります。 楽団の運営資金は、団員のお金で賄われます。 楽団によりますが、毎月2,000円から3,000円ほどの団費を徴収して、 日々の運営や練習の場所代に使われています。 演奏会となると、大きな会場ほど負担も大きくて、 著作権料も全ての楽曲を合わせると何十万という金額になります。 1回の演奏会を開くのに、団費とは別に5,000円から10,000円、 多い場合には30,000円近くの演奏会費を徴収します。 |
秦 | 聴きたいというニーズがあっても、 演奏会を開くっていうのだけでもそんなに大変なんですね。 |
斉藤 | はい。 1年から1年半に一回でもそれだけの金額がかかってきますから、 それをもっと短いスパンでとなってくるとすごく大変だと思います。 演奏を聴いてもらいたいっていうのがあっても、 すぐ演奏会を開けないのが現状だと思います。 |
秦 | 楽譜も楽団で制作されていますから、 作る人も相当な負担ですよね。 そういった面で、こちらもサポートできたら良いのですが。 |
斉藤 | そうですね。 楽譜の出版が実現できれば、団員の負担も減らせますし、 演奏会の頻度も上げられると思います。 |
秦 | 確か、斉藤さんが前に所属されていた コスモスカイさんのホールも大きかったですよね。 |
斉藤 | 1500人ぐらい入るホールでしたね。 |
秦 | それを団員さんの費用だけで賄うと考えると、すごいですよね。 |
斉藤 | 例えば、有料でコンサートを開ける環境になったとしても、 お金を稼ぐという気持ちはあんまりないんです。 |
秦 | そういったことより、団員のモチベーションを保ったり、 演奏会の質を高めるのに必要かもしれませんね。 |
斉藤 | そうなんです。 予算に余裕があれば、照明や音響の質をあげたり、 パンフレットの質を上げたりすることができます。 そうすることで、 有料で来場されたお客さんに還元できると思いますし、 良い演奏会を開くことで、 ゲームや音楽の知名度が広がり、 メーカーさんや作家さんにも良い影響を与えられると思います。 オーケストラや吹奏楽は、編成上人数も多く、 プロでも経営が難しいので、アマチュアはもっと難しいと思います。 |
秦 | 僕も音大にいるときに同じようなことを考えたことがあります。 音楽をやりながら“お金の考え方”をしっかり持っている方って すごく少ないと思うんです。 |
斉藤 | はい。 |
秦 | プロでも裕福とはいえない収入環境が多いですから、 精神的にも金銭面で負担になって モチベーションが下がってしまう傾向をよく見たことがあります。 僕もそうならないように、 経営を学びに院に通いなおして今の仕事に役立てています。 なので、お金の話はあまり話したくはないことですが、 楽団の運営面から、先ほど言った無料でやる限界を見極めることが 必要になってきそうですよね。 |
斉藤 | はい、そう思います。 |
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