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今、最もアツイ!ゲーム音楽作曲家 坂本英城氏に迫る

その5:一般の方へゲーム音楽の魅力がもっと伝わるように!


斉藤 ノイジークロークの社員さんは何名いらっしゃるのですか。

坂本 常駐だと6名ですね。外部スタッフも含めると13名ほどです。
それぞれ、出来ること・出来ないことがはっきりしてる作家が多いので、
なるべくその人へ向いている仕事を割り振っています。
ひとつのゲームにはいろんなジャンルの音楽が入っている場合もありますが
それにも充分対応可能です。

川越 それぞれの作家が自分の個性を最大限に発揮できる、
すごく魅力的な環境だと思います。
効果音をつくったり事務的な仕事のときは会社に詰めて作業しますが、
作曲の仕事のときは自宅でやっていますね。

坂本 自分の慣れ親しんだ機材を使って、自分の好きなペースで制作する、と。
決められた納期のみ守ってくれればいいという話はしているので、
みんな自宅で好きにやっています。

川越 クライアントのみなさんにも恵まれているなと思っています。

斉藤 SCEさんとはお付き合いがとくに強いですよね。
会社方針としてはどのようなものがあるのでしょうか。

坂本 そうですね・・・

この人とだったら最後まで仲良く楽しく盛り上がって仕事ができる!
そして結果的にいいものができる!という人と仕事がしたいという方針で
やってきたら、そのようなクライアントの皆さんばかりになりました。

ここに頼めば必ずいいものが納期通りにできあがる、
というのはまず大前提です。
そこだけはどんなタイトルであっても絶対に守らなきゃいけないと思っています。
そのうえで色々とおもしろいことをやっていきたいですね。

斉藤 ノイジークロークさんは、『勇者のくせになまいきだ:3D』で
自分たちの楽曲を社内のメンバーで演奏されていらっしゃいますよね。
自分たちで演奏するというのはすごく珍しいと思うのですが。

坂本 そうですね。何でもそうなんですけど、「おっ、おもしろいな」と
思ってもらえることって、人がやっていないことなんです。
まず人がやってないことという視点で考えていくと、
作曲家達が自ら演奏しているものというのはほとんどなかったんです。
じゃあやろう、と思ってやりました。



坂本 ゲーム業界って、昨今新しいハードがどんどん出ていますけど、
悲しいことにサウンド面についてはあまり触れてくれないんですよね。
スピーカーが新しくなったり、
音数がこれだけ出せるようになったりという情報が
リリースのときに全然出てこなくて。

あと、東京ゲームショウで毎年開催されているゲームアワードでも
壇上にあがるのはプロデューサーやディレクターばかりだったりするんですよね。
会場に音楽が流れていても、作曲家の紹介はなかったり・・・
作曲家は誰も壇上にあがらなかったり。
そのへんの業界の意識を変えていきたいなと思ってますね。

斉藤 たしかに、立場的には下に見られがちな部分がありますよね。

坂本 上に見られたいというよりも、
ゲーム音楽というものがこれだけ盛り上がっている
というのはわかってもらいたいですね。
お客さんのなかには、「ゲームの半分は音楽だ」って
言ってくれるような方もいらっしゃいますし。

音楽を大事にするという考えを持つ人がどんどん増えていくような活動を、
ゲーム音楽を作る側もやっていかないといけないと思っています。

この人がこう言いだしたら対応せざるを得ないくらいの存在感を、
それぞれが身につけていかなきゃダメだと思うんです。
攻めの姿勢で、どんどん目立っていきたいですね。

斉藤 坂本さんは本当に精力的に活動されていますよね。
僕が2083WEBを開設したのは今から2年ほど前で、
当時からいろんな作曲家さんの動きを拝見していますが、
非常に目立っています。
ここ1、2年で坂本さんやノイジークロークを知ったという人も
すごく増えた印象がありますし。

坂本 ありがとうございます。地道にやってきた甲斐があります。



斉藤 今回、『勇者のくせになまいきだ:3D』を4starオーケストラ
演奏させていただきますが、今後2083としても
ゲーム音楽の生演奏が聴ける場をどんどん増やしたいと思っています。

たとえばメーカー主催で何かコンサートを企画する場合にも、
作曲家の方が自分たちの曲をやりたいという場合にも、
なかなか気軽にはできず敷居が高い部分もあると思いますので、
ぜひ2083と共同して何かやれたらいいなと常々考えています。

坂本 そうですね、ぜひ一緒にやりたいですね。

斉藤 今後、特に来年以降は2083としてゲーム音楽の
オーケストラや吹奏楽の譜面を普及させていきたいと思っていまして。
今回の『勇者のくせになまいきだ:3D』と『無限回廊』の楽譜も、
ぜひ出版してもらえればと考えています。
オーケストラや吹奏楽業界にゲーム音楽の譜面がたくさんある、
という状況を作っていきたいですね。

『勇者のくせになまいきだ:3D』や『無限回廊』を演奏したいという方の声も
あると思いますが、そういう方に対して何か一言いただけますか。

坂本 ゲーム音楽を演奏してくれることは本当にうれしいですね。
ただ、そこにハードルがあることは僕も認識していて、
課題があるなと思っています。
でも今後、そういった活動に協力できるように、
会社や自分自身の名前を少しずつでも
ブランディングしていければなと思っています。

うちが音楽を担当したらCDを出しますとか、
どこかのコンサートで演奏しますとか。
その時にはゲームの商品名もちゃんと出しますよ。
というようなやり方であれば、そこでまたゲームが売れるかもしれない。
演奏されることに対しての敷居も下がるかもしれない。
そうなるように、できることを日々やっていきたいですね。

もっとゲーム音楽を演奏する機会が増えて、
一般の方にもゲーム音楽の魅力がわかってもらえるようになったり、
足しげくコンサートに通う方が増えていくようになると嬉しいですね。

ぜひ一緒にゲーム音楽を盛り上げていければと思います。

斉藤 はい!そうですね。
こちらこそよろしくお願いいたします。

本日はどうもありがとうございました。

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©2010 Sony Computer Entertainment Inc.
“無限回廊”は株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントの登録商標です。
また“勇者のくせになまいきだ”および“100万トンのバラバラ”は同社の商標です。

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