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『ポケットモンスター』受け継がれる音楽のバトン


増田さん、音楽を託すさみしさってありましたか


一之瀬 『ポケットモンスター』の楽曲制作では、いわゆる増田節を引き継ぎながらも自分節も出していくわけですが、みんながその意識を持っているおかげで『ポケットモンスター』らしさが守られてきたのかなと思います。

佐藤 過去にサウンドチームの増田以外のメンバーで、「増田音楽らしさとは」という会議を何回かしたことがあるんですよ。増田が制作した音楽を分析して、「この禁じ手がそうなんじゃない!?」とか意見し合いながら(笑)。みんなが思う増田らしい音楽を制作するようなこともやってみました。

増田 僕が独特と言われる所以は、3人が音楽の勉強をしてきているところにあると思うんですよ。僕は学生の頃に吹奏楽でトロンボーンを演奏していましたが、いまでもピアノは弾けません。独学である程度音楽のことを知っていても、楽典的なコード進行などは気にしないので、そこが違うんだろうなと思います。

足立 勉強していると、どうしても型にハマってしまうんですよね。私だと気になってしょうがない部分を増田は無視していくので、インパクトがちゃんとくる音楽が制作できる。なかなか真似できないところですね。

増田 佐藤や足立は、その場所のイメージに合わせることが自分よりできているなと感じています。時折もうちょっとくずしてほしいと思うことがありますが、これはパッケージになった時のイメージを大事にしているからなんです。全部キレイすぎると聞いている側も似たり寄ったりで疲れてしまうので、1個ぐらい異質な楽曲があってほしい。曲ひとつひとつは、いい曲を書いてくれてるといつも思っています。

一之瀬
佐藤
足立
……頑張ります!

増田 (笑)。

─ 増田さんの音楽をしっかり押さえながらも広がっていく『ポケットモンスター』の音楽ですが、増田さんは誰かに託すとなった時にさみしさを感じられたのではないでしょうか

増田 ありました。 『ポケットモンスター 金・銀』にとりかかる時点で、もうサウンドだけをやるという状況が無理だったんです。創りだした世界観を守るという意味では自分が制作し続けるのが一番いいとは思いますが、そうするとせっかく作った世界が閉じていってしまうと思うんですよ。僕の音楽というのは独特ですけど、お客さんのシチュエーションを考えて制作しているので、このゲームのお客さんが一番楽しむことはなんだろう?と思うと答えは「増田の曲だから」ではないと思います。だからみんなに入ってもらって、そこはふっきれました。

足立 私が一之瀬に言われて覚えているのは、「あらゆるものをだんだんフォーカスしていく」ということなんです。個性を飲み込んでいって、『ポケットモンスター』という世界から外れないけど広がっていくような世界を作っていこうと言われて、「そっか、自由にやっていいんだ」って思いました。

一之瀬 これは、僕が『ポケットモンスター 金・銀』で広げたようにみんなにも広げてもらいたかったんです。『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』でジャズが来るなら僕もやらなきゃと刺激になったし、僕は僕でみんなに作ってもらったものと増田の曲の間を埋めるような曲を一生懸命作っていたように思います。

そして、『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』へ



ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア


─ 最新作の『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』は足立さんがメインでアレンジをされているそうですね

足立 好きな方が多いタイトルをアレンジするので、そこに配属と言われた時には本当に緊張しました。

佐藤 新規とバージョンアップは気をつけるところがぜんぜん違うんですよ。新規はいかに新しいことを魅力的に見せるかですけど、ナンバリングとして続いていくようなバージョンアップは思い出をいかに壊さないかを大事に考えていかないといけないんです。

ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア

増田 絶対言われることです。僕たちも昔のゲームに対して、オリジナルとバージョンアップを手に取る機会があった時に「前のほうがよかった」って言っていましたから。

一之瀬 僕はどうせ怒られるならもう、やれるだけやってやろうと思って書いていたところがあります。

佐藤 たしかに、『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』とかは一人だけアレンジが暴走してましたよね(笑)。 アレンジで特に気をつけたいのは、キーやテンポをあまり変えないこと。あと、表のメロディだけ残しても、裏のフレーズが入っていないとガッカリされてしまうようなこともあります。

足立 そうなんですよ。でも、実際の楽器を使うにはキーを変えないと適音域から外れてしまいます。「こんな高さ、絶対トランペットが吹けないよ」といった部分がたくさんでてくるんですね。そういった部分をごまかしていかないといけないのが大変ですね。アレンジのやり方としては、MIDIデータを一度解析していまの音源で鳴らせるようにしてから、音の足し引きをして組み立てていきます。

一之瀬 そういった点では、特に大変な作品でしたよね。

─ 特に苦労された曲はありますか

足立 じてんしゃですね。12年前のじてんしゃのイメージと、現行タイトルでのじてんしゃのイメージはまったく違うので、最新作はどちらをとるかすごく悩みました。最終的にひとつのカタチに落ち着きましたが、それを融合させる音楽を模索して2、3週間は悩みました。

─ バージョンアップということで、テーマも変わってきているということでしょうか

増田 『ポケットモンスター ルビー・サファイア』は、僕の両親の田舎が九州なのでそこでの思い出がモチーフとなっていました。ホウエン地方は漢字だと「豊縁」と書くんですけど、自然が豊かで、人と人、人とポケモンの関係性も豊かである世界を描きたいと思って作ったんですね。 『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』は、その時から12年が経っているのでいまに合わせたテーマになっています。なので、昔遊んだ人もいま遊ぶ人にも楽しんでもらえると思いますよ。

─ 最後に発売を楽しみにしているファンへ、是非足立さんから楽曲の聞きどころを教えてください

足立 当時の音楽を守りつつも新しいものを見せていきたいと思って制作してきました。ニンテンドー3DSで発売されることもあって、音色がとっても鮮やかになっているのでキラキラっとしたアレンジ曲がたくさん聞けると思います。注目していただけると嬉しいです!


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【ポケモン関連情報!】
「『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』発売前日 ニコニコ カウントダウンイベント@ニコファーレ」開催!


イベントの模様は、ニコニコ生放送で中継!

日時:2014年11月20日(木)20時〜
場所:ニコファーレ

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