その5:「なるけさんの曲って、手紙みたい。」
斉藤 | では、なるけさんの最近の活動についてお聞きします。 M3(音楽の同人即売会)でなるけさんが出した自主制作アルバム『Feedback』は、 どんな経緯で作られたんですか? |
なるけ | アルバム自主制作歴の長いはるかちゃん(霜月はるかさん)や、 MANYOさんとお仕事をする機会がここ何年か続きまして。 そっか、自主制作って自由だなと。 自分で企画して、やりたいことをやって。 自分が中心に立って、企画を進めていくのはいいなぁと思ったんです。 |
斉藤 | M3に初参加されたのは、昨年の秋でしたね。 |
なるけ | はい。どんな感じのイベントなのかなと思って、 MANYOさんのブースに一緒に立たせてもらいました。 MANYOさんのCDって、手裏剣のように売れていくんですよね、 スタンスタンスタンと(笑)。 それを見て、気持ちいいなと……私もやってみたいなと思って。 あと、買いに来てくれるファンの方と直接交流している様子を見て、 こういうのいいなと思ったんですよ。 ファンの方に、「ありがとう」って直接言えるのが、すごくいいな〜と! それが、自主制作アルバムを出そうと思ったきっかけですね。 |
永芳 | 『Feedback』の内容についてお聞きしますが、1曲目の「希望の砂塵」は、 『alone the world ワイルドアームズ・ヴォーカルコレクション』の 「Sky high! Fly high!!」の歌詞の中に、同じ言葉が入ってますね。 これは何か関連性があるんですか? |
なるけ | すばらしい。誰か見つけてくれると思ってました(笑)。 これは、「希望の砂塵」という言葉をもう1回使いたかったんです。 「希望の砂塵」の曲解説をしますと、『ワイルドアームズ』には、ロンバルディアっていう、飛空形態に変身するドラゴン種のロボが出てくるじゃないですか。 あれが、危機的状況で駆けつけるという設定で。 |
永芳 | そうなんですか! |
なるけ | 私の中で作ったお話は、荒野に残された60人くらいの避難民たちがいて。 残り少ない食料を食べながら途方に暮れているという状況なんです。 そんな時に、ごーっと風の音がして、 遠くからロンバルディアが飛んでくるのが見えるんですね。 頭上を飛び去った後に砂塵が巻き上がって、それがふわっと切れた向こうに、 援軍の何百台もの装甲車の列が…… ああ、自分で言いながら鳥肌立っちゃった(笑)。 そこが、曲のサビのところなんですよ。 |
永芳 | おお……そんな設定があったんですね! |
なるけ | はい。私が曲を書く時って、劇伴として作るんです、いつも。何を作っても。 だから、ゲームのお仕事で「ここはどういう感じの曲ですか?」と聞いて、 説明にピンとこない時は、自分で勝手にお話や裏設定を作って曲を書くんです。 というか、そうじゃないと作れなくて……。 素早くスッと出せないので、職人ではないのかもしれないですね。 |
永芳 | いや、でもそれが、なるけさんらしさなのかもしれません。 |
なるけ | それがコンプレックスではあったんですけどね。 でも最近は、自分のいい所を見て生きていこうと思うようになりました。 |
斉藤 | それは“なるけ節”についても同じでしょうか。 一時期は好きではなかったという“なるけ節”という言葉は、 今はご自分の中で、どのような捉え方をされていますか。 |
なるけ | 以前ほど遠ざけてはいないですね。 客観的に見て言うと、メロディラインが“言い訳の羅列”って感じがします。 「でもね、だってね、だよね、けどね…」って感じのメロディだなと(笑)。 あと以前、上松範康さんから、 「なるけさんの曲って、手紙みたい」と言われたことがあって。 メロディラインと、副旋律との掛け合いが、手紙をしたためる感じで。 すごい例えですよね。 そう言ってもらったのは、かなり嬉しかったですね。 |
永芳 | 手紙……なるほど。 素敵ですね! それでは最後に、ファンの方へ一言、メッセージをお願いします。 |
なるけ | そうですね……まず、タバコはやめなさい。 あと、夜は寝なさい。ちゃんと人と関わるんだぞ〜。 ‥‥っていう上から目線バージョンはまぁこのくらいで(笑)。 いや、ほんとに言いたいのは、いつもありがとうございますってことですね。 あと、ファンのみなさんに会いたいです。 純粋に、会いたいです。 新作アルバムも制作中なので、イベントでぜひ、 私の手紙を受け取りにきてくださいね。 取材協力:サウンドウーノ |
なるけみちこ最新CD!『Feedback 2nd』
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