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強烈な個性が生きる集団 ベイシスケイプ設立10周年特別取材

Article written by 高部 大幹




その1:ベイシスケイプのバンドが誕生!その名も「リブストロー」


──まずは、7月に結成され、8月4日の「音撃」というイベントでライブデビューしたばかりの「リブストロー」のお三方にお話を伺いたいと思います。
各メンバーの自己紹介をお願いします。

工藤 ギターとバンマスをやっております、工藤吉三と申します。

千葉 硬い、硬すぎる(笑)

──学生時代にもバンドをやられていたそうですね。

工藤 中学からバンドを始めて、当時流行っていたヴィジュアル系をやったり、高校に入って「ドリームシアター」などプログレメタル系のコピーバンドをやったり。
解散した後は、軽音楽と吹奏楽が半々のようなビッグバンドでギターと編曲を担当していました。大学の時はゲーム音楽の演奏も頻繁にやっていて、「ドラゴンクエストIII」「ファイナルファンタジーVII」「ゼノギアス」など色々なゲーム音楽を、ビックバンドにロックバンドが合わさったような編成で編曲し、演奏していました。

金田 ライブミキサー担当の金田です。
2人と違って私は特別弾ける楽器がないので、ライブで機材周りを担当します。
コンピュータを使ったしかけで、生演奏にからむエレクトロニクスを模索していこうと思います。
今後、役割は変わっていくかもしれません。

工藤 指揮者みたいな役割で、金田さんがいないと曲ができないんです。

金田 自分がドングル(ソフトの不正コピー防止のために使用される小型装置)を忘れると、演奏ができない(笑)

工藤 ライブの途中で漫才を始めたら、金田さんが何かを忘れたってことですね(笑)

千葉 鍵盤、シンセサイザーを担当している千葉です。
バンドは学生時代に組んでいて、最近では声優の長谷川明子さんのライブにキーボードで参加しました。

写真
金田 充弘
ベイシスケイプにてオーケストラ、アコースティック、歌ものから、
電子音楽にいたるまで幅広い作風を手掛ける。
<代表作>
「グランナイツヒストリー」(作編曲 ディレクション)
「朧村正」(作編曲)
「太鼓の達人」(作編曲)

工藤 吉三
ベイシスケイプにて作編曲、ギター演奏を担当。
アレンジCD「朧村正 音楽集 変奏ノ幕」では企画立案とデレクションも務める。
<代表作>
「グランナイツヒストリー」(作編曲)
「タクティクスオウガ 運命の輪」(編曲)
「怒首領蜂大復活ブラックレーベル」(作編曲)

千葉 梓
ベイシスケイプで主に作編曲を担当。近年はゲーム曲の他に歌モノの楽曲提供なども多い。
<代表作>
長谷川明子 シングルCD「fateful Actor」(作編曲)
夏目友人帳 キャラクターソング (作詞/作編曲)
「タクティクスオウガ 運命の輪」(編曲)

──この3人になった理由は?

工藤 挙手ですね(笑)
8月4日開催の「ゲームサマーフェスティバル2012」の「音撃」というイベントにベイシスケイプで出ないかというお話しをいただいて、自分の他に金田と千葉がやりたいと言ってくれました。
ベイシスケイプはオーケストラサウンドのイメージが強いのですが、それ以外のロックやテクノなどの幅広いジャンルの仕事もしています。
そこに焦点を当てたら意味があるのでは、というのがコンセプトです。つまり、ライブの生演奏、ロック、そしてエレクトロ。ライブ演奏音楽の意味や楽しさを伝えていきたいですね。

写真
2012年8月4日(土)「音撃」ライブPhoto

──バンド名はどのように決まったのですか?

金田 最初の案が、金田・千葉・工藤の頭文字をとって「かちく」(笑)

工藤 結局かちくは没になったのですが、ライブでロックでエレクトロニカということで「リブストロニカ」という案があがり、でも「ニカってどうなの?」という意見もあったので、「リブストロー」というポップな案もあがり、リブストロー派の金田と、リブストロニカ派の私と、どっちでもいい千葉に分かれ、早くも解散の危機になりました(笑)

金田 千葉がうまく間をとってあみだくじを提案してくれました。にも関わらず、千葉が線の進め方を分かっていなかったのです。

千葉 違います! 2人とも線を斜めにむちゃくちゃに入れて……(笑)

──バンド名や方向性を決めるときは、他の作曲家さんには相談はしないで?

工藤 崎元やマネージャーの伊藤には報告をしながら進めていますが、バンド名やどういう音楽をやっていくかという点については自分たちで決めています。
崎元からは「品位を汚すレベルじゃなければ好きにやってかまわないよ。」と言われてて、現状ではおまかせに近いスタンスでやらせていただいています。
基本的には私たち3人が作曲した曲をやる予定です。
自分たちの曲をライブで生演奏して聴いもらうというのは大変うれしいことで、今後とも積極的にやっていきたいと思っています。

──アレンジは各自でされているのですか?

工藤 基本的には作曲した人が率先してトラックを作り、3人で意見を出し合って最終形に向かっています。
今までの個人でやっている作曲とは違うので、楽しかったり……、楽しかったり(笑)
「音撃」用の9曲分でミーティングをして、9時間くらいかかりました。

千葉 自分の曲だけど、バンドの風味が加わって、いい感じになっています。

工藤 個人で作るものから広がって、「これがリブストローの曲なんだ」というところまで行けたらいいかなと思っています。
音楽的な志向がかなり違うので、それを皆でうまいことやったらどうなるのか、というのが楽しみですね。違いすぎて解散してしまうかもしれませんが(笑)

金田 ライブ用にお客さんがノリやすいアレンジするけど、ゲーム音楽のおいしいところといいますか、エグい部分はある程度残したいというのもあります。そのあたりで葛藤もあります。

工藤 エグかったり速かったりというところは、ある意味でゲーム音楽のゲーム音楽らしい部分でもあります。
それを全部そぎ落とすと期待してきたものと違うことになります。そこのせめぎ合いですが、トータルでは気持ちよくノリノリイケイケなアレンジにしています。
衣装や見せ方も考えて、盛り上がるライブにしたいですね。

──今後も定期的に活動を続けていく予定ですか?

工藤 機会があれば続けていきたいです。
8月のライブでうまくできなければ、一夏の思い出で終わって、いつの間にかフェイスブックも消えているかもしれませんが(笑)
ただ、この活動は意味があると思うので、良い形で続けられるようにしたいですね。

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