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DETUNEに聞く、M01とこれから

その3:「M01」でゲーム音楽を打ち込める?


斉藤 カオスモードが面白そうですが、
それは「M1」にあった機能ですか?

佐野 いや、ないです。

コルグのDJ系ツール「KAOSS PAD」、「KAOSSILATOR」、「ELECTRIBE」、
それらの特徴的な仕様を採用したのが、「DS-10」のカオスモード。

黒い画面上で、縦横で2つのパラメータを同時にコントロールできます。

「M01」のカオスモードはこんな感じ。



佐野 元々「DS-10」にカオスを入れる時、僕は反対だったんですよ。
アナログシンセになかったし、時代感が違うから嫌だと。

でもコルグさんが絶対入れたいと言ってきた。
僕は全然やる気なかったんですけど・・・。
いざ入ってみたら一番“刺さった”のが僕で。


(一同笑)


岡宮 「うひょうひょ!」とか言って(笑)

佐野 これは凄い! 出た、コルグの本気! みたいなね(笑)

で、コルグさんの提案で「M01」では和音モードとドラムモードまで入ってきた。
あの入力デバイスは画期的だと思いますよ。

岡宮 見た目そっけないですけどね、真っ黒で。

佐野 子供(その2参照)にもカオスは反応がいい。
でも、仕様ってのは、あまり増やすと複雑に思えるから、離れるお客さんもいる。

開発では仕様をいかに削るかというのを、いつも心に留めていました。

斉藤 今回「M01」で削った機能は?

佐野 一番はシンクプレーでしたね。

「DS-10」では8台でシンク(同期)して
同時に鳴る機能があったんです。

でも僕らが知る限り、ほとんど誰も使わなかった。
一般のプレーヤーはDJっぽく手で合わせちゃう。

ひとつ仕様を増やすとそれだけ開発期間は延びる。
でも僕らは早く発売したくてしょうがなかったんです。
「早く自慢しなきゃ、こんないいオモチャ」という感じで。

岡宮 当初、12月半ばに出したかったけど、意外とスムーズに行ったね。

佐野 ゲームの発売って普通は延期する中で、逆に前倒しって目立つなって。
早く褒められたい一心で(笑)

僕らも、任天堂さんも、Amazonさんも、
「DS-10」の実績があったので特にスムーズに行ったのではないでしょうか。

岡宮 予約もかなり来て、最初に用意していた数が足りなくなり、増やしました。

佐野 ソフトを作るのにはお金がいるんですが、
DETUNEはお金が無いので。
だからもしこのサイトをご覧になっている、お金持ちが・・・

岡宮 足長おじさん。

佐野 足長おじさんですね、損はさせないと思うんですよ。ぜひご連絡を。


(一同笑)


斉藤 「M01」も海外で発売されないんですか?

岡宮 したいですね。

佐野 海外の人も興味を持ってくれている。
興味があるから日本語を勉強したという人もいます。

斉藤 海外はゲーム音楽がかなり熱いですよね。
アレンジや演奏も日本より早くから行われていて。

佐野 そうですね。体温が高い人が多いですよね。
「DS-10」のプロモーションの一環でデンマークに行った時も
特に光田さんの人気が凄かったですよ。

僕が光田さんのファンをさばいていた(笑)




高部 ところで、ゲーム音楽を打ち込んでみたいという人もいると思います。

打ち込みの知識がない人もできますか?

佐野 譜面がある前提で話をすれば、
譜面上の四分音符が画面のピアノロール上ではどうなるのか。
それを頭の中で変換するのに最初少し時間がかかるかも知れないですけど、
やっていくうちに慣れると思います。

そうして楽譜通りに打ち込んで、似た音色を選べば、
結構近い音が鳴ると思います。

で、そこからどう似せていくのかというのが醍醐味じゃないでしょうか。

楽譜がない場合は“耳コピ”という別の技術がいりますが、
今は「耳コピ指南」みたいなウェブページもあります。

岡宮 耳コピしてる人には、譜面で採るよりも、
逆に画面のピアノロールの方がやりやすいんじゃないですか?

佐野 耳コピ出来る人はそうかもしれないですね。
「DS-10」よりも「M01」のほうがやりやすいと思います。

ゲーム音楽だと、聴感上は「プレステ」の内蔵音源に近いくらいできそうですね。
「スーファミ」なら全然OKです。
「FF」の曲とか、やる気になれば行けると思います。
(※) 同時発音数は「スーパーファミコン」8音、「プレイステーション」24音、「M01」12音。

写真


佐野 ジャンルは何でもいけますね。
そのコンセプトはまさに当時のシンセの方向性と一緒です。
ただ、時代的にドラム系の音色は多くしてますね。

岡宮 図らずしてドラムマシーンとしてかなり秀逸なんですよ。
これだけのものを搭載しているのはあまりない。

佐野 「ゲーム音楽を簡単に打ち込めるツール」
ってこういう言い方もいいのかな。

実際これをPCでやろうとしたら、もの凄いお金がかかりますし、
この環境を作るには大変ですから。

岡宮 ゲームユーザーの方は皆さん「DS」を持ってるわけですから。

佐野 強引にフリーソフトでやる方法もありますけど、敷居が高いですよね。
それにいきなりPCから始めるって、しんどいと思います。

ただ、「M01」で慣れておくと、基本的な設計思想は同じなので、
かなりスムーズにPCでも音楽作りは入れると思いますね。


(その4ではライブやイベントで使えるかどうか聞いてみました)