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よりよい運営って、なんだろう?−ゲーム音楽を演奏する管弦楽団 リトルジャックオーケストラとの対談−

その5:チケットの有料化


斉藤 僕は、第3回定期演奏会の時から
リトルジャックさんの演奏会に行っています。

当初は、無料で演奏会をやっていたと思うのですが、
有料化を考えたのは、いつぐらいからだったのでしょうか?

小又 第6回定期演奏会で、
パイプオルガンが使える会場を探していて、
横浜みなとみらいホールを予約しました。

斉藤 えぇ。

小又 そこは、全席指定の会場だったので、
自由席にすることができなかったんです。
そうなってくると全席指定の処理をする時に
有料にしてチケットを発行しないと難しいということになりまして。

これがキッカケになってきますね。

斉藤 そうだったんですか。

小又 でも私たちにあの数のチケットを処理する事務能力がなくてですね、
業者に委託するしかないと思ったんです。

アマチュアなので会場の整備なども
自分たちでやらないといけないのですが、
ずっと張り付いているわけにもいきませんし・・・。

斉藤 演奏会当日は、バタバタしてしまいますからね。

小又 初めはチケット発行についても
料金を無料で委託したいと考えていたのですが、
さすがにそういうサービスがなかったんです。

それであればお金がかかってもやってみようというのが始まりです。
有料、無料というのは、実はあまり考えていなくて
大変なので頼むしかないという感じでした。

斉藤 2,000人も入るホールで
チケットの準備はちょっと想像がつかないです。
もぎりや整備についても正直ちょっとやりたくないですね…。

実際有料化にしてみてどうでしたか?

小又 まず気づいたのが、
お客さんが開場前にそんなに並んでいなかったのです。

聴きに来たみなさんが、ゆったり来られていたと聞きました。

斉藤 チケットがあれば確実に座れますからね。

小又 あともう1つは、横浜みなとみらいホールの時は、
ホールの係の方がモギリなり整備をしてくださったのです。
なので団員の負担は大きく減りました。

長蛇に並んでしまうと交通整理の面でも大変なのと、
いろいろ予測がつかないんですよね。

斉藤 僕も以前コスモスカイオーケストラという楽団に所属していたのですが、
第1回で満席以上になって50人〜100人の方が
入れなかったというのを経験しました。

もちろん予想できていなかったので、当時は困惑しました。
入れなかったお客さんのなかには、
僕の友達もいたし、遠方から来られていた方もいらっしゃいました。
本当に申し訳ないとしか言えませんでした。

なので有料であっても、
指定席があるというのはすごくいいと思うんですよね。
遠方から来られる方も、席がある安心感がありますし。

大塚 そうですね。

でも、ゲーム音楽のアマチュア楽団では
今までこういった例がなかったので団員も相当悩みました。

団員もゲーム音楽が大好きですから、
いきなり有料化って言われると
「いきなりお金とるの?」という意見がもちろん出ます。

団員から出るぐらいですから、
きっと団外からも出るだろうなと。

斉藤 そうですね。

大塚 でも、アンケートを見ると
「ずっと並んでいたのに入れなかった、という心配がなくなって嬉しいです」とか、
「並ばなくなったので助かります」といったものが多く書かれていたんですね。

そういう意見を全部集計して
次回はどうするかってアンケートをとるんですけど、
そこでもまだ意見が割れたりします。

それでも、お客さんの利便性を考えていくっていう方向性のなかで
10周年や11月の演奏会なども有料化にしようとなったのです。

斉藤 なるほど。
それでは、今後も有料で演奏会を開催していくということでしょうか。

小又 そうなります。

でもそれは、聴きにくるお客さんの負担や、
リトルジャックとしての負担軽減を考えてのことですから
あんまり手厳しく見られると困ってしまいますが(笑)

斉藤 そうですね。

本日は貴重なお話をありがとうございました。
今後、楽団を設立する人にとっても非常に参考になると思います。

これからも聴きに行きますので、是非活動を続けていってください、
応援しています!
小又 こちらこそ、ありがとうございました。
これからも頑張ってください!


リトルジャックオーケストラ演奏会情報


「リトルジャックオーケストラ 第7回定期演奏会」応援バナー

リトルジャックオーケストラ「第7回定期演奏会」
2010年11月14日(日)
【時間】開場:13時30分 開演:14時00分
【会場】パルテノン多摩 大ホール(最寄り駅:多摩センター駅)
クロノ・トリガー、クロノ・クロス、交響組曲ドラゴンクエストIを演奏
※ 公式販売のチケットは完売いたしました。
「リトルジャックオーケストラ 第7回定期演奏会」の詳細はこちら



取材を終えて


ここからは、2083代表の斉藤個人としての考えになります。

アマチュアのゲーム音楽の演奏会は“無料”というのが通例となっていますが、
今後、リトルジャックオーケストラさんに関わらず有料による公演は増えていくと考えられます。
それは、やはりお客様の利便性や楽団員の負担減など双方にメリットがあるからです。

一言で有料化というと楽団の収益を想像してしまいがちですが、
実際は、ホールの使用料や著作権の支払いが割り増しとなり、
チケット業者を通す場合は、その手数料や諸々のやり取りなど運営面での影響も少なくありません。
ある程度の席数が埋まらなければ、無料で開催するより楽団の負担が増えてしまう場合もあります。

また、有料にすることにより選曲や演奏会の構成の制限が厳しくなる場合もありますので、
楽団側としても簡単に有料化を取り入れられない現状もご理解いただければと思います。

今後もし、有料化を考えている楽団がありましたら、
2083WEBとしては、権利面や運営面でもサポートしていく体制を整えていきたいと思っています。


それでは、「よりよい運営って、なんだろう?−ゲーム音楽を演奏する管弦楽団 リトルジャックオーケストラとの対談−」を最後までお読みいただきありがとうございます。







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