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ゲームサウンドクリエイターのあつまり「ゲ音団」との対談

その6:想いを伝え合うことが必要


斉藤 演奏会で選曲される曲というのは、
団員がものすごい好きな曲なんです。

えぇ。

斉藤 好きな曲を演奏しているとお客さんにも伝わります。

例え知らない曲でも、
コンサートで聴いたから“ゲームをやってみよう”とか、
“サウンドトラックを聴いてみよう”
とアンケートに書いてくれる方も大勢います。

ビジネスとは違った、
いい広がりが人間の感情のなかにはできているのに
演奏自体ができないことになると、
せっかくの広がりがなくなってしまうことになります。

TECHNOuchi 非常にわかります。

菊田 こちらも個人的な意見になってしまうんですけど、
僕はね、音楽っていうのは演奏されるべきものであり、
人に聴かれるべきものであり、
人に届くべきものだと思うんです。

だから演奏できないとか、
聴けないということは、
音楽のありかたに反してると思う。

人はお金がないと生活していけないから、
ビジネスを通して、
音楽を世の中に出さなければいけないこともわかっています。

だけど、誰かが創って愛された音楽が、
みんなの耳に届くのが一番じゃないですか。

斉藤 今は、インターネットが発達しているので、
20年以上前のゲーム音楽を聴くことができます。

僕らが赤ちゃんだったころのゲーム音楽でも、
今聴いても素晴らしいものがたくさんあって。
だからそういった曲も
もっと演奏されて、みんなに知ってほしいですね。

誰かが伝えたり演奏していかないと
何年か経ったときになかったものになってしまうと思うんです。

菊田 作曲家としては、とにかく聴かれてほしい。
自分が創ったものが消えていって
時代に埋もれてしまうのは悲しいことです。

音楽は聴かれて初めて存在するものですから。

ゲ音団img

えぇ。

斉藤 サウンドクリエイターさんのインタビュー記事などで、
ファンがどれだけサウンドクリエイターさんや
その音楽のことが好きか、
なかなか伝わってこないというのを
見たことがあります。

現段階で、僕たちのようなファンが
サウンドクリエイターさんに対してできることってありますか?

TECHNOuchi ゲ音団を作った後、
ユーザーの皆さんとボクらの距離が
少しは縮まったと思うんですが、どうですか?

斉藤 はい。
距離が近くなったように感じます。

TECHNOuchi 例えばツイッターでボクらの日常や、
人となりが少し垣間見られるようになったことも、
大きいのかも知れませんね。

ノイジークローク坂本さんの「おとや」もそうですけど、
ユーザーの皆さんの生の声を聞いて、
ボクたちは元気をもらえるし
次の創作に繋がる部分もたくさんあります。

ボクとしてはこういった機会を増やしたいので、
どんどん絡んで来て欲しいと思ってます。

ボクらも、ユーザーの皆さんも、同じ人間なんですから
恐れることは何もありません(笑)

菊田 音楽を創るっていうのは、
その人自身の中から出てくるものだと思います。
だから音楽を創るエネルギーも人なんです。

商業的にウケを狙おうとするんじゃなくて、
誰かのためにとか、
僕に話しをしてくれる人とか、
僕の音楽を聴いてくれる人とか
手触りのあるもののために創ったほうが
音楽に力がこもるじゃないですか。

だから、もしファンの人がいてくれたら
その気持ちを僕に返してほしいな。

返してくれればまた違う形で音楽や、
僕の力になって、誰かの元へと届くと思います。
そういうキャッチボールは本当に必要だと思います。

斉藤 僕たちの声が作曲家さんの力にも、
音楽にもなるんですね。

菊田 そう。

みんなね、
す〜っごくシャイだっていうのはわかるの。


(一同笑い)


僕は、ファンとの交流のために
コミケ(※)に毎回ブースを出しているんだけど…
(※)コミケ … 正式名称コミックマーケット。
毎年夏と冬に開催される世界最大規模の同人誌即売会。

そうだったんですか!?

菊田 えぇ、隠してもいないです(笑)

毎回ブースを出して、ファンの人が来てくれると
“やぁ、よく来たね”って話をするの。

年齢は、おいくつぐらいなんですか?

菊田 20歳から30代半ばぐらいかな。
みんな小学生や中学生の頃に
スーファミを遊んでいた人たちなんだけど、
とにかくみんなシャイなの。

気持ちのほうが大きくなりすぎて、
言葉が出てきませんみたいな(笑)


(一同、ドッと笑う)


でも、気持ちはわかるよね。

こうして伝えてもらったものは
必ず僕の中で巡って外へ出て行くものになります。

そういうのをしなさすぎると、
死んでいってしまうと思う。

ゲームも、ゲーム音楽も。