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ボストンでゲーム音楽を演奏するVideo Game Orchestraとの対談

その6:世界中で日本のゲーム音楽が演奏されているって知ってました?

仲間 そうです。Symphonic Fantasies。

斉藤 僕、演奏を聴いてビックリしました。

仲間 なにより編曲がすごかった。
もう“あのヤロ〜!”って思ったよ(笑)

斉藤 植松さん(※8)、下村さん(※9)、菊田さん(※10)、光田さんが
ドイツまで足を運んだとか。
(※8)植松伸夫(Nobuo Uematsu) … Dog Ear Records、SMILE PLEASE代表。
特にファイナルファンタジーシリーズの作曲で有名で、
初期のタイトルから大半の楽曲を制作している。
日本ではもちろん、海外でも人気・知名度ともに高い。

(※9)下村陽子(Yoko Shimomura) … カプコン、スクウェア(現スクウェア・エニックス)を経て、現在フリーでの作曲活動を行っている。
キングダムハーツシリーズ、マリオRPGシリーズ、ストリートファイターII、ライブアライブなど、多くのゲーム音楽を制作している。

(※10)菊田裕樹(Hiroki Kikuta) … スクウェア(現スクウェア・エニックス)在籍時に「聖剣伝説2」、「聖剣伝説3」、「双界儀」などの音楽を制作。
退社後は、作曲活動を主軸にしつつも、ゲームプロデューサー、シナリオライターなどとしても活動を続けている。

仲間 その4人をメインにフューチャーしたスタイルだったからですね。

タイトルを1つずつフューチャーしたかと思ったら、
最後にイロイロ混ぜ込んだスクエニ(スクウェア・エニックス)の
ボスメドレーをやっちゃうんだもん。

斉藤 あと、『クロノ・クロス』、『クロノ・トリガー』って、
いろんなところでアレンジされていると思うんですけど
今までとは違うレベルをやっちゃったというか。

仲間 編曲をした人は音楽院を作曲家で出ているんです。
『クロノ・クロス』、『クロノ・トリガー』のアレンジには、
もう感動しちゃって。
最後のカエルのテーマからメインテーマに行く時は
“なんだこれ!”みたいな(笑)

コンサートが終わって、すぐに楽屋に行きましたね。
「あんたすごいよ!」って。

(一同、ドッと笑う)

仲間 あと、あれだけのことを企画した
トーマスというプロデューサーがいるんですが、
ゲームが好きで、そのためにゲーム音楽コンサートを
プロデュースしている人なんです。

思いついたことをあれだけのクオリティでやって、
テレビでブロードキャストまでしちゃうんですよ?
こんなにすごいことやる人、なかなかいない。

斉藤 1週間リハーサルしたらしいですね。

仲間 正確には、全部で10日間ですね。

ケルンのプロオケに演奏を依頼していて、
結局2週間滞在させたわけですが、
ボクはどうしてチケットの値段を
あんなに下げれたのかが不思議です。

斉藤 なぜですか?

仲間 ケルンのプロオケはテレビにも普通に出ているような人たちで、
それを2週間拘束したら、億近い予算がかかりますよ。

斉藤 えぇ!?

仲間 トーマスがいいコンセプトを出して、
優秀な編曲者と協力してココまで出来るっていうのは、
ボクらみたいな楽団にとってもすごくいいことですよね。

トーマスともいつか一緒になにかやりたいねってことを話してて、
本当にいいグループと企画者だなと純粋に思いました

斉藤 やっぱり本気度ですかね。

仲間 飛び抜けた情熱みたいなものはあったと思います。
だからこそケルンのオケも素晴らしい演奏で期待に応えてくれて、
長い間リハもしてくれたんじゃないですかね。

斉藤 Shotaさんは他にも日本国外のゲーム音楽演奏楽団と
繋がりがあるようですが、
どういう風に知り合ったんですか?

仲間 ボクは、神出鬼没の男と呼ばれていまして。

(一同、笑い)

仲間 とにかく、いろんなイベントに足を運んでいるんです。

また、エミネンス交響楽団(※11)の代表の由良さんとは、
ゲーム音楽を演奏する楽団を立ち上げる上で、
スカイプなどを通じてアドバイスをいただきました。
(※11)エミネンス交響楽団(Eminence Symphony Orchestra) … 2003年に日本人のバイオリニスト由良浩明氏が創設したオーケストラ。
主にアニメや映画、ゲームの音楽のサウンドトラックのレコーディングやコンサートを行っている。
近年では、劇場版『涼宮ハルヒの消失』のレコーディングに携わっている。

ボクのなかで、VGOをやっていくっていうのは
使命のように決まっていて、
じゃあリーダーとして何ができるだろうって考えると
まずは、いろんな人に会うことなんです。

斉藤 はい。

仲間 VGOという団体をいろんな人に知ってもらわないと
何にもならないんです。
言うなれば、営業ですね。

Youtubeで偶然みつけてもらうのを
期待してるぐらいじゃダメなんですよ。
そうじゃなくて、自分からもっとバンバン行って売り込んで、
いろんな知り合いをつくるんです。

そういった繋がりのなかで、作曲者と知り合うこともあります。
それで、その人の曲が演奏できたら
そんなにいいことってないじゃないですか。

斉藤 ホント、その通りです。

仲間 ボクいろんな人にすぐ話しかけちゃうもんだから、
結構恐いもの知らずとも言われたりして。

でも、いろんな海外のイベントにも行って話しかけることで
本当にいろんな繋がりをもてました。

ボク自身にとってもすごい良いことだし、
おかげで権利の関係でも楽な思いをしていることもあります。