特集コンテンツ

ボストンでゲーム音楽を演奏するVideo Game Orchestraとの対談

その4:日本のゲームタイトルの力強さ

斉藤 VGOが演奏している曲は、
日本のゲームタイトルが多いようですが、
日本国外のゲームタイトルは、あまり演奏しないのですか?

仲間 そうですね。
最近はそれを変えるように努力しているんですが、
やっぱり日本のゲームタイトルって人気なんですよ。

斉藤 日本国外のゲームが
日本で同じように人気になることって少ないですから、
少しヘンな感じですね。

貝塚 日本にいると、日本のゲームのクオリティが十分なので、
あえて日本国外のゲームをやろうって気持ちに
ならないのかもしれないですね。

斉藤 たしかに。
日本国外のタイトルも面白いのがいっぱいあるんですけど、
一部の人しかやらないですね。

貝塚 クリエイターの発想がぜんぜん違いますよね。
暴力的でスリリングなゲームが多いので、
日本人はなかなか楽しめないのかもしれません。
非日常を体験するという点では日本と同じですが、
かなりのギャップがありますね。

仲間 アメリカでは、Xbox 360(※5)のタイトルが多いです。
これはマイクロソフトというメーカー名からも、
PCゲームからの派生という印象が強いですね。

アメリカでは、FPS(※6)が売れるからっていうのもありますが、
日本ではよっぽどゲーム好きじゃないと、Xboxはやらないですよね。
(※5)Xbox 360(エックスボックス サンロクマル) … マイクロソフトが2005年に発売した家庭用ゲーム機。
オンライン要素に強みを持ち、日本国外のタイトルの発売など、同時期の据え置き機であるプレイステーション3やWiiと趣向の異なるゲームが多い。

(※6)FPS(ファーストパーソン・シューター) … 主人公の視点でゲーム内の世界を任意に移動でき、武器などを用いて戦うアクションゲーム。

斉藤 そのとおりです。

仲間 日本のタイトルといえばファンタジーとRPGだと思うんですよ。
どちらにも得意分野があるって意味ではいいことなんじゃないかな。

だけど日本って言葉の壁があるから、
音楽にしても海外の人たちとは
あまりコラボレーションしようとしないですよね。

斉藤 えぇ、そうですね。

仲間 VGOとしては日本に行って演奏したいし、
日本のエキストラも呼んでみたいです。

そのためにも、
僕らがVGOで得たスタイルを
きちんとした形で持っていきたいですね。

それで日本国外のゲストを呼んだりしたら、
面白いことになるんじゃないなって。

斉藤 関連する話なんですけど、
去年日本の国際フォーラムで行われた
「VIDEO GAMES LIVE in JAPAN」というのがありまして、
比率的には、日本国外の曲も多く、
日本人はついていけていない部分もありました。

仲間 あれは、そのまま持っていってしまったからなのかな、
優秀なコーディネーターがいたらよかったのかも。

VGOは日本で活動する上で信頼できる人に任せる予定です。
ここにいるショウタロー君にお願いするんですけど。

貝塚 えぇ。

僕が客観的にVGOを見てて思ったことですけど、
指揮者が日本人でリーダーも日本人ってなってくると
もちろんレパートリーも日本のゲームタイトルになってきます。

それがアメリカでのVGOの存在理由になっていますし、
日本のゲームタイトルを演奏することは、
日本で活動する時の架け橋にもなります。

斉藤 なるほど。

貝塚 VGOは苦労がそんなにないみたいに聞こえるかもしれないけど、
実際はリーダーが一番身を削って本気の本気でやっているんです。

メンバーもそれがわかっているから“ちゃんと弾こう”、
“しっかり演奏”しようって思えるんです。

斉藤 今までの話だけでも、
楽団やメンバーのことを深く考えていることが伝わってきます。

貝塚 僕もそういうのを見ていると
日本にいる時に手伝えることはしたいし、
こうなんか、たいした役とかはできないんですけど、
人を繋ぐことはできると思っています。

ここにいる、かずよさんにしても同じ気持ちですね。

栗谷 はい、もちろんです。

仲間 ショウタロー、ホントにそう思ってるの?
知らなかった…。

貝塚 うん。

斉藤 愛の告白だ(笑)

貝塚 じゃないとやるわけないでしょ(笑)

仲間 ・・・・・。
とりあえず、握手しようよ!
握手!w

(一同、笑い)