その3:ゲーム音楽はunstylish(ダサい)?
斉藤 | コンサートを開催するのが大変だったというのは、 例えば、どういったことでしょうか? |
仲間 | VGOを立ち上げようとした 夏学期はみんな実家に帰っちゃうんです。 だからそんなにプレイヤーもいなくて。 あとは、“ゲーム音楽のオーケストラやりたいんだけど” って言うと、みんな「えぇ!?」だとか、 「本気なの?」って顔をしかめたりするんです。 きっと日本だと反応はもっと違うと思うんですけど、 ゲーム音楽に特化したグループはアメリカにはないし、 みんな「なんなのこれ?」って感じでした。 |
斉藤 | まだまだアメリカでは受け入れられていないんですかねぇ…。 |
仲間 | それがそうでもなくて、 なんとか28人ぐらいの小さいグループを作って、 2008年7月に教会でコンサートをしました。 そしたら、200人ぐらいのお客さんが来てくれて。 それで次もやっちゃおうって。 |
斉藤 | ふむふむ。 |
仲間 | で、次は11月頭にやったんですけど、 どうせならもっとデカいことをしたいって ワガママになっちゃって(笑) |
(一同、笑い) | |
仲間 | ボクはバンドマンだし、ロックもやりたいなって思って。 いろいろ考えているうちにオーケストラ自体も大きくなって、 ロックバンドと合唱が加わった今の編成になりました。 |
斉藤 | なるほど。 |
仲間 | このコンサートは600人ぐらい入って、 これはもっと大きいことができると思いました。 その時に、たまたま来ていたバークリーの偉い人が、 「僕の名義でバークリーの会場を取るから」 って言ってくれたんです。 そのコンサートは2009年の3月に行いました。 そしたら思ったより反響がすごくて、 1,200人が来場して満員になりました。 地元の新聞やテレビでも取り上げられたりして。 そこからアニメボストンというイベントの話もいただきました。 |
斉藤 | まだ2年経ってないですよね? |
仲間 | 経ってないですね。 トントン拍子で来ているので、 まだ失敗を経験していないっていう恐ろしいグループなんですよ。 でも、ボクはもっともっと大きいことがしたくって。 企画がよければ、何万人とか何十万人って集められると思うし、 何百万人とか、もっと多く人の前で演奏してみたいですよね。 |
斉藤 | というと、今までに苦労話はあんまりない感じですか? |
仲間 | あえていうなら、勧誘ですかね。 ボクけっこう手当たりしだいに 道歩いている人に声かけちゃったりするんで… |
(一同、笑い) | |
仲間 | この人チェロのケースを持ってるなと思ったら、 ものは試しじゃないですか、 すぐ声かけちゃうんです。 でも、「ゲーム音楽」って聞いたとたん鼻で笑われたりだとか、 そんなの音楽じゃねーよみたいなのもありました。 |
斉藤 | その状況はコンサートをやって変わりましたか? |
仲間 | ずいぶん変わりました。 周りの目もそうですが、入ってくれる人たちって、 このオーケストラから得られるモノがあるから入りますよね。 |
斉藤 | えぇ。 |
仲間 | そこも変化してきて、 知名度が上がるにつれて ボクらにしか与えられないモノが出てきたんです。 そこがVGOにとって大切だと深く感じました。 VGOがいろんなジャンルの音楽を組み合わせてるっていう理由は、 先ほども言ったように、VGOを通して プレイヤーに与える“何か”がないと絶対ダメなんです。 |
斉藤 | 例えばどういったものでしょう? |
仲間 | いろんな音楽をプレイヤーに演奏させるっていうのがあります。 純粋な音楽の信者って、 ある1つのジャンルが大好きでそればかり触れますから、 その人たちが自分だけじゃ出会えない音楽を演奏させて、 ロックなり、メタルなり、ジャズなり、クラシックなり、 新たな音楽に出会わせたいんです。 そうしたらプレイヤーとしての 彼ら・彼女らの視野も広がると思います。 将来的に要求されるジャンルを弾きこなしたり、 まったく違うジャンルのレコーディングに参加したり、 グループに入ったりするかもしれません。 こういう考えが芽生えてほしいからこそ、 ボクはVGOをやってます。 |
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