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ゲーム音楽の楽譜ができるまで

Article written by 石橋 加奈子
心具港 − think-port −(ブログ)はこちら

静かに活気を増している「ゲーム音楽を演奏するアマチュア楽団」の世界。
そこから生まれた「2083WEB」が、どのような形になっていくのかは、
実は代表の斉藤も、書いている私もわかりません。

一体なにをやればいいんだろう?

でも、やってみなくちゃわからない!
ということでインタビューに行ってきました。

記念すべき第1回目は、「ゲーム音楽の楽譜」を制作されている
「スカイポート出版」の秦さまにお話を伺ってきました。

たった1人で起業したという「ゲーム音楽の楽譜出版社」。
1人で?なんだかとっても興味が沸いてきました。



その1:やっぱりネックの著作権

斉藤 自分自身、音楽に触れる機会は多い方だと思うんですが、
楽譜ができるまでとなると、実はぜんぜん知らないんです。
楽譜を作成して販売となると、
やはり著作権が気になるところなんですが、
スカイポート出版さんで出されている
『ドラクエ』(※1)や『FF』(※2)の楽譜は、
どのように著作権を取られているんですか?
(※1)ドラクエ…正式名称「ドラゴンクエスト」
スクウェア・エニックス(旧エニックス)から発売されているゲームで、
日本を代表するRPGタイトルの一つ。
(※2)FF…正式名称「ファイナルファンタジー」
スクウェア・エニックス(旧スクウェア)から発売されているゲームで、
前述のドラゴンクエストと双璧をなすRPGタイトルの一つ。

もちろん許可を取って楽譜を作成しています。
『ドラクエ』等は、JASRAC(※3)管理のものが多いので、
規定通りに申請をすれば簡単に取れちゃうんです。
事務的といいますか。今はネット上でも出来るんですよ。

(※3) JASRAC…正式名称「日本音楽著作権協会」
音楽著作権の集中管理事業を行っている社団法人。
ホームページ右下にある作品データベース検索「J-WID」より
管理曲の確認が行える。

斉藤 そうなると、逆にJASRACが管理していない曲のほうが
めんどくさいということですか?

そうなんですよね、どこに連絡していいかわからないんです。

斉藤 僕たちのようなアマチュアの楽団も、
演奏会のために許可を申請をする必要があるんです。
そうではない場合は、
どこに連絡をしていいかわからなくて本当に大変でした。

例えば、テレビで流す場合も、
ネットで流す場合もJASRAC管理だと先ほどの手順で出来ます。
A、B、C全てがJASRAC管理だったら申請も簡単なんですけど、
A、B、CのうちBだけ違ったりすると、
申請も使用料金も変わってきたりしますからややこしいんです。
J-POPなどはJASRAC管理のものが多いですが、
ゲーム音楽に関してはJASRAC管理じゃないほうが多いですね。

斉藤 ファミコンからスーパーファミコンとか昔の曲は、特にそうですよね。
最近の曲だとちょこちょこ登録されてきているというか。

そうですね、増えてきています。

斉藤 昔は、もう本当に『ドラクエ』しかなくて、
だから『ドラクエ』のピアノ譜が身近だったというか。
スカイポート出版さんは、ベスト版として『ドラクエ』と『FF』の曲が混在している楽譜がありますよね。

実はそれも著作権が関わっていて、『FF』のナンバリング1つに絞っても全てがJASRAC管理とは限らないんです。
そうなると、『FF』だけでは曲数が少なくなってしまうので、混ぜ込んだという理由もあります。

斉藤 タイトル的に混ざることは大丈夫なんですか?

ええ、JASRAC管理曲であれば大丈夫です。
その中に1つでも、JASRAC管理曲ではないものが入ってくると、
ちょっと制作が難しくなってきますけど。